涸轍鮒魚
桃月の雑記帳・こてつふぎょ
DATE: --/--/--(--)   CATEGORY: スポンサー広告
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
page top
DATE: 2010/12/11(土)   CATEGORY: 十珠伝
十珠伝 第二輯第三十回
  この記事は十珠伝の登場人物で書けなかった部分を紹介しています。また内容も十珠伝用に改変してありますが、南総里見八犬伝のネタバレともなりますので、自分で原作やマンガ版を読んでみたい方はご注意ください。





  話は荒芽山から迷い出たあずささんの旅から始まります。場所は浅草に近い里道。ここでもあずささんは厄介ごとに巻き込まれ、あらぬ盗みの疑いをかけられそうになりました。最終的に疑いは晴れたのですが、盗品が武家の家宝で、嵐山と呼ばれる単節切(ひとよきり・笛の一種)だったため、念の為にその地域を任されていた馬加常武(まくわり つねたけ)の居城へ出頭することになりました。

  その城に到着すると、どういうわけかあずささんは盛大なもてなしを受けます。実は先の盗品が外に流れたことには常武自身が関わっていました。常武はあずささんをもてなすことで自分の配下に引き入れるか、従わなければ殺してしまう心づもりだったのです。あずささんは殺してしまうにはもったいない美貌ですし、武芸にも秀でていましたから、このもてなしは何日にもわたって続きました。そしてそのもてなしにはいつも白拍子の一座が呼ばれていました。その一座には旦開野(あさけの)という名の少女がおり、歌舞に大変秀でていました。あずささんは宴の時以外は城の離れに隔離されていたため、彼女の歌や舞踊りが日々の楽しみになり、ついつい城に長居してしまうのでした。常武自身、この旦開野に心を奪われていました。この一座はもともと旅をしながら芸を披露していたのですが、旦開野が常武に見初められたことから城に留め置かれることになったのでした。しかし旦開野は常武に全く心を開きません。

  ある日、あずささんは体に異変を感じます。なかなかあずささんが傾かないのを見て、常武はとうとうあずささんの食事に毒を盛るように指示したのです。しかし、苦しむあずささんのもとに女性の姿が現れ、あずささん自身の宝珠を取り出して口に含ませました。すると次第にあずささんの体から毒は消え去りました。それ以来、あずささんは食事の後には宝珠を口に入れるようになりました。すると毒が体に回らないからです。

  さて、あずささんがいる離れの近くには品七(しなしち)という老人が雇われて城に入っていました。日頃の楽しみが取り上げられていたあずささんはこのおじいさんと話をするのも楽しみにしていました。品七は城に入っている期間も長かったため、あずささんの命が狙われていることに気づきました。そしてある日、あずささんに常武の人となりを打ち明けました。

  常武はもともと地元の支配者・千葉氏に仕えていました。主人が亡くなったばかりの千葉家では家臣団の中で権力争いが起こっていました。その中でも一目置かれていたのが如月胤度(きさらぎ たねのり)でした。常武はもう一人の権力者と共に家宝嵐山の笛を持ち出し、如月胤度を陥れ、主人の命令を取り付けて彼を殺害。家も取り潰しとなり、息子の夢之助も、正室も妾も、男も女も子供も、みな殺されることになりました。ただ一人、妊娠しているのにいくら堕胎薬を飲ませても子供を殺害できない妾がおり、彼女だけは追放されるにとどまりました。

  これが常武の過去の行いです。しかし品七はこの話をしたことがばれ、毒を盛られて殺されてしまいました。そしてある夜。あずささんが留め置かれている部屋に人影が近づきます。それは常武があずささんを暗殺するために放った部下でした。さすがにあずささんも身の危険に気づきます。しかしその人影は突如倒れ、新たな人影が現れます。それは旦開野でした。旦開野は「次の夜、あずささんを連れて城を出る。宴に呼ばれても応じず、支度をして待っていてくれ」と告げて去っていきます。

  次の日。常武は宴を開きますがあずささんは来ません。しかしそのかわり、普段素っ気無い態度を取る旦開野がすすんで酌をして回るのです。気を良くした常武は盛大に宴を催し、旦開野も皆に酒を飲ませました。そして夜になると、男達はみな宴の時のまま異常なほど眠りこけていました。旦開野が飲ませた酒には薬が盛られていたのです。そしてその影で旦開野が姿を変えます。

  普段の白拍子の衣装から軽装に着替えた彼女は、眠った男達を次々に殺しています。そして旦開野は馬加常武がいる対牛楼(たいぎゅうろう)へとむかい、常武の前で自分の正体を明かします。「私はお前が殺した一族の生き残り、如月胤度が一子、如月千早である」と。如月家で唯一命を保った妾の子どもが千早であり、旦開野であったのです。そして千早は父の仇、馬加常武の首を取りました。対牛楼の異変に気づいた家臣たちは旦開野、いや、姿を明らかにした如月千早を捕えようとしますが、千早は舞を舞うように彼らを殺してしまいます。男も、女も、常武に関わっていた者たちをみな殺してしまいます。

  やがてあずささんのいる離れに到着すると、千早はあずささんを軽々と抱え、一気に城の外へ脱出します。しかし、最後の最後、用意した船に乗るところで邪魔をされます。先に千早が船に乗り込んだところで錨が弓で切断され、二人は離れ離れになってしまいます。

  この二人はどうなるのか、それはまた後の話。
[ TB*0 | CO*0 ] page top

COMMENT

 管理者にだけ表示を許可する

TRACK BACK
TB*URL
Copyright © 涸轍鮒魚. all rights reserved. ページの先頭へ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。